2025/06/25

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文化・社会

花蓮県の古代米復活プロジェクトが2年目に、今年は「cilipeday」に特化

2020/03/17
花蓮県の馬太鞍集落と行政院農業委員会花蓮区農業改良場による古代米の復活プロジェクトが2年目に。今年は「毛の生えたもち米」と呼ばれる「cilipeday」に特化して栽培する。写真は13日に行われた活動。四角く区切られた畑に「cilipeday」の苗を植えつける。(中央社)
台湾東部・花蓮県光復郷に位置する馬太鞍部落(=集落)の馬太鞍撒巴勒奧(sapalugau)文化産業協会は昨年、行政院農業委員会(日本の農水省に相当)花蓮区農業改良場と協力して同協会のとなりで陸稲11品種を栽培、7月には収穫に成功した。今年はこの活動を続ける上で、すでに80代と高齢の呉連妹さんが提供した品種の「cilipeday」だけを植えることにした。「cilipeday」は「毛の生えたもち米」とも呼ばれている。
 
今年も昨年と同様に同協会のとなりで栽培。畑は四角く区切られており、その一角には苗がいっぱいに植えられている。古代米復活プロジェクトのリーダーを務める陳美齢さんによれば、畑で直接苗を育てるのは伝統的な方法で、苗を分けるトレーや畑に線を引く道具なども全て伝統的な器材を使っている。
 
苗の植え付けは13日午前に行われた。年長者が横一列に並んだ花蓮県立光復国民小学(小学校)の6年生十数人に、苗を取り出しては区切られた枠に正確に植えられるよう1つずつ手渡していく。年長者たちは植え付けをしながら歌を歌い、畑はにぎやかなムードに包まれた。
 
種子を提供した呉連妹さんによると、「cilipeday」はかつて先住民族のアミ族にとっての重要な作物だった。穂が出ると大変良い香りを放ち、以前は「cilipeday」を炊くと両隣が気付くほど。また、「cilipeday」を使って作った「杜倫」(モチ)は最も美味しいモチだったという。今回植えられた「cilipeday」は4カ月後に収穫できる見通し。
 
近年、先住民族の伝統的な作物の復活が重視されるようになった。こうした作物は過去、生産量が少ないほか加工も難しかったことで、徐々に改良された品種に取って代わられた。行政院農業委員会花蓮区農業改良場の宣大平秘書(事務長)によると、種を保存して苗を育てるプロジェクトは台湾で長く行われてきたが、かつては大きな生産量が期待できる作物、水不足に負けない特殊な作物、味の良い作物が中心だった。しかし近年は品種の文化的な意義が重視されるようになり、花蓮区農業改良場では2014年に「原住民研究室」(先住民族研究室)を設置し、先住民族たちの伝統的な作物を積極的かつ系統だてて復活させている。
 
宣秘書は、「気候変動に向き合う中、伝統的な作物の逆境に強い特性はより重要になっている」と語る。かつての先住民族は大雑把な栽培に慣れていた。このためこうした作物の「逆境に負けない力」がかえって強まり、より粘り強くなった。また、文化面から見ると、祭典に欠かせない食材であるほか、先祖代々伝えられている味でもあり、代わりになるものは無い。
 
近年、馬太鞍集落では稲の原生種栽培に積極的に参与。2018年には8品種、昨年は10品種の栽培を試みた。今年は古来種で水不足に強い「cilipeday」に特化している。
 
 

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